- 一度聴いたら忘れられないメロディー
- 子どもをひきつける、子どもの歌声
- ミュージカルのようなレコーディング風景

3.ミュージカルのようなレコーディング風景
子どもたちに歌を覚えてきてもらって、歌のレコーディングが始まりました。4日間かかりましたね。
ミュージカルスターを目指す子どもたちですから、実は、CD1のほとんどの歌には、振りがついていたんです。踊りながら練習しているリハーサル風景が、写真に残っていますよ。
また、「I'm Sorry」を歌っている男の子などは、歌いながら演技の世界に入っていて、泣きそうな顔をしていました。見ていた大人はびっくり。録音現場はまるで、ミュージカルでしたね。
歌の先生は、歌詞と曲に合ったシンガーを上手に選んでくれました。まず、歌の内容を確実にとらえ、たとえば、なんとなく男の子の要素が強い歌には男の子のシンガーを、という具合です。
また、CD2の「Cat Eyes」のように、幼いほうが雰囲気が出そうな歌の場合は、3歳児を中心にグループを組んでくれました。3歳というと本当に幼いので、先生としても指導するのが大変なのですが、男女5、6名が揃いました。どことなく舌足らずな感じが、なんとも言えない魅力になっていますね。
歌のうまさが重要な場合には、グループの中でもトップクラスのシンガーを選んでくれました。CD2の「I Love You, Daddy」のように、3名で競作をした歌もあります。誰が歌うか決めずに、3人の子どもが別々に録音しました。それぞれ上手なのですが、聞き比べて勝者を決めたのです。また、声の個性や、せりふ回しのうまさで選ばれた子もいます。子どもといっても、厳しい競争の世界があるのですね。もっとも彼らは、しょっちゅうミュージカルのオーデイションなどを受けているので、競争には慣れているのです。強くなるはずですね。
こうして選ばれたシンガーたちは、「自分の曲だ!」という意識を持って練習し、歌いこなしています。自分で自由にアレンジして歌っている部分もあるんですよ。
先生も、子どもが楽しんで歌うので、少しばかり羽目を外して歌っていても注意しませんでした。上手に歌うことより、感情を込めて歌うことを大事にしたのですね。出番を待ちながら周囲で見ていた子どもたちの笑い声が入っている曲もあります。これは、あえて消さないで残してあるんです。
シンガーが笑顔で、体をゆらして楽しい雰囲気で歌っている、これが、聞いている子どもを自然に引きつける秘密だと思いますね。また、ソロとコーラスの組み合わせも、絶妙な楽しさを演出していると思いますよ。
レコーディングには、多いときで15人くらいの子どもが集まりました!その親が15人以上。夫婦で来ることもありますからね。小さい子どももいるから、その面倒をみてくれる係が3人くらい。とにかくすごい人数です。お昼ごはんには、60センチくらいのピザを15箱用意しました!パーティーみたいな光景でしたね。
歌を録音した後の編集には、3週間か4週間かかりました。大変な作業でしたが、完成したCDを聴いたみなさんから、「子どもたちが釘づけになっている」とか、「すぐに覚えて歌いだした」なんて聞くと、自分の子どもがほめられているようで、とても嬉しいですね!
「子どもの世界を表現したシンプルな歌を、子どもが楽しみながら歌う」という方針は間違っていなかったと、確信しています。
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